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プロレスときどきサッカー。素人の思ったことつれづれ。

5.21 モレラ東戸塚

半分思いつきで行ったモレラ東戸塚のチャリティプロレスだったのだが、晴天にも恵まれ楽しい一日となった。いつもの会場で見るいつものプロレスも勿論最高なのだけれど、地元商店街で開催された今大会は実に味わい深いものだった。

普段プロレスとは無縁の場所だからこそ醸し出すある種のゆるさの中で楽しむプロレスというのもまた一興であることを改めて教えてもらったようにおもう。

2000円でゆっくり座れてビール飲んでハーブソーセージ食べて、アイスリボンや大日本の選手(バラモンも)が見られて、そして東北や熊本の震災とそれにまつわる諸々のことを改めて思い返すきっかけをもらえて、とても良い一日になった。改めて大日本とアイスリボンの両団体、FM戸塚の皆様にはお礼を言いたい。

唯一の心残りといえば、テキーラ沙耶選手のポートレートを買おうかどうしようか、もじもじ迷って結局見送ってしまったことだろうか。来年はがんばります。

ある39歳の肖像としての藤田ミノル

あの熱量はなんだったのだろうか。10.2。ガンプロが後楽園初進出を果たした日、僕は幸運にもあの空間にいることができて、あの空気を体感する事ができた。

「興行としては普通。ただ、磁場が狂っていた。」とは、この日の第一試合にも登場したさくらえみがその夜市ヶ谷で語った鋭い評だが、ポジティブな意味でもこの日の出来事を見事に表現していると思う。

その異様なテンションはメインで最高潮を迎える。エントランスのBAD COMMUNICATIONの大合唱で大家健率いるガンプロ軍を後押しする会場。そんな雰囲気すら飲み込まんとする大仁田厚(と保坂秀樹)の存在感。その強大とも云える邪道のオーラに立ち向かう大家健に、きっと観衆の一人一人は自分の姿を重ねて、虚勢のような勇気を奮い立たせたのだ。だからこそ、炎のスピアで大家が3カウントを奪ったとき、最大級のカタルシスが訪れたのだと思う。

再びBAD COMMUNICATIONがヒットしたときの地鳴りのような歓声と熱気は、まさに磁場が狂っていたと表現するに相応しい。

さて。

興行のピークは間違いなく今書いたメインイベント。まるで最終回みたいなエンディング、しかも最大級のハッピーエンドだったわけで、それは疑う余地もないのですが、あの興奮から一ヶ月ほどが経過した今もふと思い出してはその意味を考えたりしてしまうのは、セミファイナル、そう、藤田ミノルと元奥様である前村早紀との一戦です。

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藤田ミノルがガンプロに初参戦したとき、自身が結婚して二人の娘がいる事、でも今は離婚し独りで暮らしている事などを試合後のマイクで告白します。以後、トモダチ軍として大家のガンプロ正規軍と抗争を開始するのですが1年の長きにわたり続いた抗争劇は、藤田が大家との一騎打ちに敗れピリオドが打たれます。そして「俺はとっくにあんたに救われていた」とこぼした藤田ミノルのマイクは毒気が抜けたような、それでいてどこか少しさみしそうな、そんな印象を持ちました。

藤田ミノルとのエピソードはこれで終了し、ガンプロのメインストーリーはまた別のところで動いていくのだろうなあとなんとなく思っていたところに、発表された元夫婦がリングで合間見えるという異常事態。家庭の事情を赤裸々にマイクで語り出す事で始まった抗争劇の真のエンディング、もしくはボーナストラックがよもやこんな形で用意されようとは。藤田は当日を迎えるまで、いや、当日試合中でさえ、この試合の正確な意味を明確に定義づけられなかったのではないでしょうか。

それは見ているこちらも同じでどうしたらいいかなんて分かるわけもなく、手探りの中試合は進んでいきました。前村選手はブランクのせいもあってか時折息があがっているようにも見えましたが、なんとか必死に食らいついていきます。それがこの非現実的な試合にある種のリアリティを付加していくのでした。

試合も中盤を迎えた頃、観戦に来ていた娘さんの「ママーっ」という叫び声がホールに響きます。おそらく藤田ミノルと同じように僕も、どう処理すべきかわからないからなんとなく笑ったみたいになるしかありませんでした。話題性、興味本位、そういう気持ちで見始めたこの試合だったかもしれませんが、これは凄いものを見ている。と、キツすぎるドキュメンタリーのように、自分は第三者として観ているだけのはずなのに、様々な痛みが伝わってくるようでたまらなく息苦しい。そんな認識に変わっていきました。

試合は藤田ミノルのサヨナラからのカバーをパートナーのバンビがカットしたところに円華がアシストして最後は前村さんの低空フランケンその名も「孤独じゃないよ」でフィニッシュ。

試合後のマイクは前村さんから「一生プロレスやってろ!」という藤田ミノルへのエール。握手の後一礼して二人は別々の方向へ歩いてリングを降りる。

バックステージで藤田ミノルは言います。

まあ……これから頑張るって言っても、足とかヒザとか腰とか悪いところばっかりだし、コンディションさえいいとは言えないですし。でもね、僕今年39(歳)になったばかりなんですけど、3年、4年くらいか。43(歳)くらいまでにもう一度プロレス界で、誰しもが認める中央で、プロレスラーとして……まあガンバレ☆プロレスが端っこだからダメというわけじゃないですけど、本当にプロレス界でもうひと勝負……もうこの格闘技で聖地・後楽園ホールで、もう在るべき姿の試合でキッチリと結果を残して、もう一度藤田ミノルという存在を全うな状態でプロレス界に知らしめるように…知らしめます! やります! 腹が決まりました、今日で。ありがとうございました。すみませんでした!

39歳にもなると、そりゃあ色々ある。それは本当だ。なぜ本当かと云えば私が39歳だからわかるのです。

ここまでのシチュエーションは訪れずとも、39歳の日常では一部の逸材を除き順調にいかなくて限界を知ることばかりである。でも、あるものでやっていく術を知り、己のやり方でやっていく、いかざる得ないことを知るわけです。そのむやみに期待できない世界の中でどこを目指すのかという話はとてもつらくて本来は視界の端で捉えてはいるものの、まっすぐに目を向けたくはないのです。

でも、この試合を経てそれでも中央を目指してやっていくと藤田は云いました。これはもう39歳が本気で感情移入してしまうビルドゥングスロマンです。何かを為し得るのか、為し得ないのかは正直分からないのですが、もう、この、なんというか、生き様の切り売り感は正直見ていてキツさを覚えるのですが、その圧倒的なリアルさにはとにかく心を揺り動かされます。

藤田ミノル選手の今後は、割と人ごとで無い感じで私静かに応援したいとおもっております。

10.10両国大会の後藤さん

さて、後半のシングル3試合。けっこうなボリュームだった前半戦を上回る「さすがビッグマッチ」といった骨太な闘いとなりました。NEVERのベルトをめぐる柴田vs.オライリーの激しい攻防。続く1.4のIWGP挑戦権利証をかけたケニーと後藤。そしてオカダにとってはG1の雪辱戦でもある丸藤とのIWGP防衛戦。どれもハイレベルで見応えあったのですが、僕が今回特に感情移入してしまったのはセミファイナルのケニーvs.後藤の一戦でした。

ドーム大会でのIWGP挑戦権をかけたこの試合。まだ記憶も新しいG1決勝と同カードということで、再戦に否定的な意見もありました。勝負はついたばかりですし「なぜ後藤なのか?」という声はもっともではあります。

僕自身もこのリマッチに否定とまではいかなくても「G1以上のものは見られないだろうに、なんでこのタイミングで再戦なのか??」という思いを抱いたのは確かです。勿論後藤さんが勝って1.4の可能性だってあるとは思うのですが、ケニーに連敗したときのイメージ下落を考えるとリスクが高いし、ケニーにとっても後藤さんに勝ったところで夏の結果の答え合わせにしかならないし、うまみのある勝負には思えなかったのです。

しかし、いざ試合が始まってみると、そういった背景を抜きにしてシンプルに「おもしろい」んですよね、この二人の闘いは。

双方、派手な技で攻めるイメージが強いのですが、それ以上にきっちり相手の技を受けるところに真骨頂があります。しかもこの二人の場合は、後半畳み掛けるペースと強度がなんともエクストリームなだけに終盤かけてどんどん攻防が激しくなり、そうなるともう客席も俄然ヒートアップ。パソコンの画面で見てた僕もだいぶ力が入りましたもん。最後、ケニーが後藤さんを担ぎ上げて片翼の天使が決まる瞬間は思わず「あー」と声が出てしまいました。

普段、バレットクラブとしてインサイドワークに長けた試合を見ているとスタイル変更したケニーのうまさやコミカルな面がよく伝わってきて、それはそれで受け入れられていると思うのですが、やはりまだケニーの一番の凄みはこういうトンパチなところにあり、エルガンとのIC争奪あたりから、ここぞというところでその引き出しを(やや迷いながらも)開けてきている感じがしています。

激しくなればなるほど端的にケニーの凄さが伝わりますし、今のファンが求めている像とも重なるのでしょう。もともと支持を受けていたケニーですが、更に一枚上がったのはあのG1優勝あってこそでした。これで1.4のメインでオカダカズチカの対角線に立つ資格は揺るがないものとなりました。誰がどう見てもケニーがふさわしいし説得力もある。

ただ、ここまでケニーが上がったのは、あれだけ全力でクレイジーで白熱した試合を見せることができたここ二戦の後藤さんの存在が大きいでしょう。説得力のある試合内容であの戦前のモヤモヤを無かったことにして、終わってみればケニーのIWGP挑戦を揺るぎないものとしている後藤さんは大したものだと思うのです。

本来あれだけの内容を二度も見せたのですから、もうちょい評価されてしかるべきとも思うのですが、まあ結果だけ見れば同じ相手に連敗してるって事実だけが残ってしまったので、後藤さん自身のIWGPへの挑戦もケニーへのリベンジも遠のいてしまいました。

しかしながら、あれだけ派手な試合をやっておきながら相手を光らせる役回りに徹する事は難しいでしょうから、いずれメインストリームに戻ってきてくれることと確信しています。勝負の世界なので甘っちょろいこと言ってる場合でないことを百も承知で申し上げるならば、今回割りを喰った分だけいい感じになってくれるといいなあ。と思っております。

ご本人はいたって平常運転に見えるあたり、さすがと言わざるを得ない。

陰ながら推して参ります。